【感想】名探偵コナン 隻眼の残像|大人向け2時間サスペンスドラマ

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2025年4月13日に公開された映画『名探偵コナン 隻眼の残像(せきがんのフラッシュバック)』
劇場版「名探偵コナン」シリーズの第28作目。

『ゼロの執行人』などで演出を担当していた重原克也がコナン作品を初監督。

脚本は『黒鉄の魚影』なども担当した櫻井武晴、主題歌はKing Gnu「TWILIGHT!!!」が担当しました。

去年の青山作品オールスターズがごちゃ混ぜになったお祭り映画とは打って変わって、今年はまさに「火曜サスペンス劇場」のような2時間ドラマを観ているような感覚でした。

劇場で鑑賞したのでネタバレありの感想でも。

劇場版 『名探偵コナン 隻眼の残像』オリジナル・サウンドトラック (劇場版『隻眼の残像』オリジナルミニ色紙2枚封入)

ストーリー

 

長野県・八ヶ岳連峰の未宝岳。

長野県警の大和敢助は雪山である男を追っていたが、男が放ったライフル弾が左眼をかすめ、同時に起こった雪崩に巻き込まれて負傷してしまう。

それから10カ月後。敢助は、天文台の施設研究員が襲撃された事件の捜査のため現場へ駆けつける。

しかし、天文台の巨大パラボラアンテナが動き出すと、雪山の事件で負傷して失明していた敢助の左眼が、なぜか激しくうずくのだった。

そしてその夜、毛利探偵事務所には、小五郎の警視庁時代の同僚だった「ワニ」と呼ばれる刑事から電話が入る。

ワニは未宝岳で敢助が巻き込まれた雪崩事故を調査しており、事件ファイルに小五郎の名前があったというのだが……。

引用:名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック) : 作品情報・声優・キャスト・あらすじ - 映画.com より

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感想

去年の映画は、正直なところ少しストーリーがとっ散らかっていると感じる部分もあったんですが、今作はぐっと引き締まった印象。

『ゼロの執行人』ほどのシリアス路線ではありませんでしたが、一本の筋が通ったサスペンスとして仕上がっていたので大変楽しめました。

ただ、少年探偵団のパートと長野県警組のパートが交互に切り替わることで本筋のストーリーのテンポが少し悪く感じてしまう部分もありました。

また、過去の事件とのつながりも丁寧に描かれていますが、長野県警組(大和警部と由衣刑事)が初登場したアニメ第516・517話「風林火山」シリーズを知っていないと、ストーリーの背景が少し分かりにくいのでは?と感じましたね。

コナンが面白い!

今回の映画で特に印象的だったのは、コナンが全然正体を隠そうとしないこと(笑)

公安に盗聴されてても平然と灰原と会話してるし、みんなの前でも普通に道具を使いまくり。

もはや開き直り?とすら思えて、逆にそれが面白かったです。

ストーリーの軸と緊迫感

今回のストーリーは、小五郎の刑事時代の同僚である鮫谷警部の殺害事件を軸に、長野県警の大和警部が隻眼になった事故の真相に迫っていく展開でした。

まさに謎が謎を呼ぶスリリングな展開に、最初から最後まで引き込まれっぱなし!

長野県に到着してからも、正体不明の犯人に次々と襲われるシーンは、常に緊迫感が漂っていて思わず手に汗握ってしまいます。

長野県警トリオの存在感

今作はなんと言っても、長野県警の大和警部、上原由衣刑事、そして諸伏警部の3人が主役!

特に、由衣刑事と大和警部の関係性には、ドキドキさせられましたね。

雪の中の車内で言い合いになるシーンは、まさに大人な雰囲気。

由衣刑事が大和警部に長年抱いていた好意、雪崩事故をきっかけとしたすれ違い。

事件の真相を探るためとはいえ一度は別の男性と結婚した由衣刑事のことをせめる大和警部に、「あなたならどうしていた?」と由衣刑事が問い詰めるシーンは、観ているこちらも歯がゆくなるほどでした。

単なる刑事ドラマに終わらず、こういった人間ドラマが丁寧に描かれているのが、今作の大きな魅力の一つだと思います。

そして、諸伏警部も忘れてはだめですね。

犯人に襲われた大和警部を助けるため、諸伏警部が連携して犯人を追い詰めるんですが、まさかの崖からの転落、凍った川への落下という絶体絶命の状況に。

意識が朦朧とする中で、死んだはずの弟・景光が目の前に現れ、「一緒に行こう」と誘われる幻覚を見るんですが切ないですね。

弟への深い愛情が垣間見え、胸が締め付けられるようでした。

小五郎の「元警察官」としての活躍

今作は、小五郎の活躍も大きな見どころ。

探偵としての毛利小五郎というよりは、彼が元警察官であったことが強くフィーチャーされていた印象です。

大人としての冷静な対応や、得意の射撃の腕前を存分に披露してくれました。

ただ、鮫谷警部の仇を取るという意味でも事件の解決は小五郎が推理してほしかったなというのが本音ですね。

子供たちの機転

今回の犯人は、子どもにも容赦なく襲いかかってくるので、凶悪さにゾッとしましたね。

蘭が撃たれそうになる絶体絶命の中、光彦が写真を撮りながら元太が電話をかけるふりをするという機転の効いた連携プレー。

そして、元太が犯人に噛みつき、手袋の一部を噛みちぎっていたことで、犯人特定につながるという展開も、全員に見せ場があるように作ってあるのでよかったですね。

さらに、この時の犯人との格闘が、後に出てくる炭焼小屋の主人・大友隆への巧妙なミスリードにも繋がっているので、犯人は誰なのか?とぐるぐる考えてしまいました。

8年前の事件と心揺さぶる会話

8年前に起きた鉄砲強盗事件で娘を亡くした舟久保英三と大友隆との会話も心に残りますね。

娘を殺した犯人を殺したいほど憎んでいた英三でしたが、大友隆が娘・真希のお墓を守りながら御厨に復讐されることを見越して山で生活していたという真実を知った時、英三は涙を流しながらも大友のことを理解しようとする。

人間の複雑な感情、そして憎しみを超えて相手を理解しようとする心の動きが、見事に描かれていました。

劇場版ならではのド派手なクライマックス

劇場版の見どころであるクライマックスも、今回も期待を裏切らないド派手さでした!

天文台で真相が明かされ、しばらく動きのないシーンが続いていたかと思いきや、犯人である林が移動式のアンテナを奪って逃走し始めたのには、思わず笑ってしまいました。

そして、林の逃走を止めるべく、コナンが灰原に指示して、運転席に強力なレーザーを当てるシーン!

「あんな強力なレーザーを浴びたら失明してるんじゃないだろうか…」と、いらぬ心配をしてしまうくらいのぶっ飛び具合です。

さらに、このクライマックスを盛り上げたのが、由衣刑事と大和警部。

林が逃走する移動式のアンテナに由衣刑事が乗り込んでいたのですが、そこから脱出する由衣刑事を、大和警部が抱きしめて受け止めるシーンは、まさに胸アツ!

二人のこれまで描かれてきた関係性があるからこそ、その瞬間の感動もひとしおで、クライマックスを最高潮に盛り上げてくれました。

最後に

映画『名探偵コナン 隻眼の残像』は、派手さやスケール感では去年に及ばないかもしれません。

しかし、その分ミステリーとしての質と、登場人物たちの人間ドラマに焦点を当てたまさに「刑事ドラマ」と呼べる作品だったと思います。

長野県警の面々の魅力がこれでもかと描かれていて、彼らのファンにはたまらない一本でしょう。

個人的には去年の作品よりずっと満足度が高く楽しめました。