【感想】侍タイムスリッパー|笑いと感動が楽しめる時代劇コメディ映画

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2024年8月17日に公開された映画『侍タイムスリッパー』

監督・脚本は安田淳一、主演は山口馬木也。

劇場公開当初は1館だけの上映でしたが、口コミで人気が広がり、あっという間に300館以上で上映される話題作となりました。

幕末の侍が現代にタイムスリップするというコメディ時代劇ですが、2時間があっという間に感じるほど面白かったです。

見終わった後は、心が温かく優しい気持ちになれる映画でした。

Amazon Prime Videoで2025年3月21日から見放題配信にも追加、今回視聴したのでネタバレありの感想でも。

 

侍タイムスリッパー

 

 

ストーリー

 

時は幕末、京の夜。

会津藩士高坂新左衛門は暗闇に身を潜めていた。

「長州藩士を討て」と家老じきじきの密命である。

名乗り合い両者が刃を交えた刹那、落雷が轟いた。

やがて眼を覚ますと、そこは現代の時代劇撮影所。

新左衛門は行く先々で騒ぎを起こしながら、守ろうとした江戸幕府がとうの昔に滅んだと知り愕然となる。

一度は死を覚悟したものの心優しい人々に助けられ、少しずつ元気を取り戻していく。

やがて「我が身を立てられるのはこれのみ」と刀を握り締め、新左衛門は磨き上げた剣の腕だけを頼りに「斬られ役」として生きていくため撮影所の門を叩くのであった。

引用:Amazon Prime Video 侍タイムスリッパー より

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感想

魅力的な登場人物と温かい世界観

この映画の大きな魅力は、個性豊かなキャラクターと、優しさに溢れた世界観です。

悪意のある人物がほとんど登場せず、人々の温かい交流が心地よく描かれています。

主人公の高坂新左衛門は典型的な「まじめ侍」。

現代の文化や食べ物に戸惑い、思わぬ勘違いをして周囲を驚かせることもありますが、その真面目さと誠実さは多くの人を惹きつけます。

彼が現代の生活に少しずつ馴染んでいく姿を見守るのも、この映画の大きな楽しみです。

魅力あふれるキャラクターも多く登場するんですが、特に印象に残ったのは、劇中劇「心配無用ノ介」の主演俳優・錦京太郎です。

どこか抜けたような表情をした彼は、画面に登場するたびに思わず笑ってしまう存在です。

周りの切られ役に対して先輩風を吹かせていますが、その態度には嫌味がなく、むしろ憎めない魅力があります。

ストーリーの後半、高坂が新作映画で準主役に抜擢されても、妬むことなく、クライマックスの対決シーンを見て感動する彼の姿からは、素直で純粋な人柄が伝わってきます。

また、彼の私服ファッション(ピチピチの白いスキニーパンツに赤いレザージャケット、カウボーイハット)は、イケイケな業界人らしさがでていて、思わず笑ってしまいます。

 

予想外の展開と深まる人間ドラマ

ストーリーが進むにつれて、ベテラン俳優の風見恭一郎に意外な秘密があることが明らかになります。

彼こそ、高坂がタイムスリップ直前に戦おうとしていた長州藩士・山形彦九郎だったのです。

しかも高坂より30年も前に現代へタイムスリップし、日本を代表するスター俳優へと成長していました。

かつては刀を交えるはずだった敵同士が、時を超えて現代で再会し、俳優として共演することになるという意外な展開に驚かされます。

二人は過去の因縁を乗り越え、互いへの理解を深めていきます。

映画の中打ち上げでの風見のスピーチシーンも心に残ります。

10年ぶりの時代劇復帰を果たした彼が、時代劇を長年支えてくれたスタッフへの感謝と、今作品への思いを熱く語る場面。

「あの時代を精一杯生きた者たちの思いを伝えたい」という風見の言葉。

この一言が、現場のスタッフたちと高坂に対して、まったく異なる意味を持つことに思わず感心してしまいました。

スタッフたちにとっては単に「時代劇として描かれる歴史上の人物たち」の思いを指す言葉ですが、実際に江戸時代から来た高坂と風見にとっては、本当に「共に生きた仲間たち」への思いを意味しているのです。

この二重の意味を持つ台詞は、観客だけが知る秘密として胸に迫るものがありました。

過去の重荷を背負いながらも再び前を向いて歩き出す風見の姿は、映画の中でも特に感動的な瞬間のひとつです。

彼が10年間も時代劇の仕事を避けていた背景には深い理由がありました。

演技で人を斬るたびに、実際に戦場で人を斬った過去の記憶が蘇り、夜になると悪夢に苦しめられていたのです。

そんな葛藤を抱えながらも、高坂との出会いをきっかけに時代劇に復帰する決意をした彼の心の変化は、この映画の特に心を揺さぶるストーリーラインとなっています。

 

迫力満点のクライマックス

映画のクライマックスを飾るのは、高坂と風見が真剣を使って撮影に臨むシーンです。それまでのコミカルな雰囲気から一転して緊張感に満ちた展開。

このシーンでは、二人が演技ではなく本気の気持ちをぶつけ合う様子が描かれ、「架空の戦い」と「本物の想い」が交錯する複雑な感情が表現されています。

俳優陣の演技力と本格的な殺陣の技術が融合した見応えのあるクライマックスで、思わず息をのむほどの迫力でした。

最後に

『侍タイムスリッパー』は、笑いあり感動ありのかなりおもしろい映画でした。

タイムスリップというファンタジー要素を使いながらも、「異なる時代を生きる人々の心の交流」というテーマをしっかり描き出しています。

コメディとしての面白さだけでなく、「現代に取り残された侍の孤独」や「過去と現在の狭間で生きる苦悩」といった深いテーマも織り込まれていて、見終わった後も心に残る作品です。

幕末や侍の知識がなくても十分楽しめる内容なので、どなたにもおすすめできます。

日常の疲れを癒し、心が温かくなりたい方にはぴったりの映画です。

Amazon Prime Videoで配信中ですので、ぜひ体験してみてください。

きっとあなたも、この侍と現代人の心温まる交流に笑顔になることでしょう。