1995年7月1日に公開された松竹制作『トイレの花子さん』
同時期に公開されていた『学校の怪談』シリーズがドストライクだった世代なんですが、こちらは今まで見たことがなく今回WOWOWのリクエスト企画「あなたの映画館」で放送されたのが初見でした。
公開時期やタイトルに引っ張られて今作も前述の『学校の怪談』シリーズのようなイメージを思い浮かべそうになりますが、子ども向けながら一味違ったものになっていました。
なかなかに衝撃作だったのでネタバレありの感想を。
ストーリー
本町小学校の周辺で、小学生を狙った連続殺人事件が発生。
同校に通う拓也のクラスで、生徒たちは自分も襲われないかと不安になる。
そんな折、転校してきたばかりの美少女・冴子は人気者になったが、一転して殺人犯である幽霊“トイレの花子さん”だと噂されるように。
彼女をかばう拓也だったが、冴子が疑われるような事態が発生。
ある夜、拓は噂の真相を確かめようと深夜の校舎へ。
そこで冴子と出くわし、意外な事実を知るが……。
引用:Amazon Prime Video トイレの花子さん より
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感想
始めに言ってしまうとこの映画はトイレの花子さんメインの心霊モノじゃなく、子どもたちのいじめとガチの変質者案件が引き起こすホラー映画でした。
ストーリーは拓也とその妹のなつみ、拓也のクラスに転校してきた冴子を軸に進むのですが、なつみと冴子がそれぞれなかなかに酷いいじめを受けています。
そのことからストーリー中盤に冴子が自殺を図ろうとした時になつみが止めに入り、なつみがまた冴子のことを信じるきっかけになるのですがとにかくいじめの描写がなかなか。
冴子は花子さんが出ると言われるトイレに入っていたからと一方的に花子さん呼ばわりされ、ヤギを殺したのも疑われてしまい、何でも起こったことを自分のせいにされる。
挙げ句の果てには民主主義だと偉そうに言い張りクラス全員で冴子を朝までトイレに閉じ込めてしまう。
否定しても耳を貸さないまさに魔女狩り状態...
元はといえば単に拓也のことが好きな加奈子が冴子に嫉妬して始まっただけなのに集団心理は残酷ですね。
子どもの頃感じたあの独特な嫌な感じがひぇ~って蘇ります(小学校のときは人見知りで周りとはあまり上手く馴染めずでした...)
帰る約束をした冴子が学校から出てこないので不審に思ったなつみは夜に1人で学校へ。
校舎に侵入した時についに変質者に遭遇するのですが、出るとわかってても姿が映った時はビックリ!
変質者役の緋田康人さんの演技が入りすぎてて当時劇場で見た親も子どもは震え上がったんじゃないかこれ。
ガラス越しに姿を見せたり、カマで鏡を傷つけながらゆっくり近づいてくるシーンなんか怖すぎる。
そしてトイレで冴子が変質者に襲われているとついに花子さん登場。
と、言っても怪奇現象を起こして笑い声くらいで姿はなし。
途中にそれらしい描写があるもののこの後説明が入って明らかになりますが、どうもこの時に花子さんが本町小学校の生徒に「学校に集合」とテレパシーを送っていたらしく、ぞくぞくと集まる小学生の数に圧倒される変質者。
最後、集団に追い詰められる状況はまさに今まで冴子に起こっていたことで、立場が逆転した状態になり今作は終わるわけなんですが、近隣の小学校で2件も殺人事件が起きてさらに生徒がまだいる校舎内でヤギが殺される事件まで発生してるのに親も先生もめちゃめちゃのんきに色恋沙汰をしてるというツッコミどころ満載な状態。
拓也が冴子のことを最後まで信じてるならまだしも個人的にはあんな酷いことされてラストキスシーンで終わるハッピーエンドはなんだかなって感じですね...
最後に
結局、怖いのはおばけではなく人間の集団心理ってことでしょうか。
トイレの花子さんが子どもの味方として描かれる珍しい作品ではあるんですが『学校の怪談』シリーズが流行ってる中この変化球で映画化したのはなかなか受け入れられなかっただろうなと想像がつく作品でした。
ちなみに日本国内ではビデオとLDでしか発売されておらず配信もされていないので、現在なかなか見るのが難しい作品になっています。
【2024年8月19日追記】
全然気づかなかったんですがHulu、FOD、Amazon Prime Videoなど各配信サイトで見られるようになっています!
まさか配信されるとは思いも寄りませんでした。