『アデル / ファラオと復活の秘薬 (原題: The Extraordinary Adventures of Adel Blanc-Sec)』は2010年に公開されたリュック・ベッソン監督のフランス映画。
事故で瀕死の妹を救うため、古代エジプトの復活の秘薬を求めて奔走する女性ジャーナリスト アデル・ブラン=セックの冒険が描かれています。
予告編やあらすじを読んで、冒険アドベンチャー映画なのかなと期待して見ていましたが...
WOWOWプラスで視聴したので、ネタバレありの感想でも。
ストーリー
最愛の妹の命を救うため、古代エジプト最高の秘宝と言われる≪復活の秘薬≫を追い続けるジャーナリスト、アデルは、そのカギがエジプト第19王朝ファラオ、ラムセス2世にあることを突き止める。
同じころパリでは、国家を揺るがす“翼竜プテロダクティルス事件”が勃発!
ジュラ紀の化石から孵化した翼竜プテロダクティルスがパリの空を飛びまわり、人々を脅かしていた。
だがその異変は、単なる序章に過ぎなかった―。
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感想

とりあえずこの予告編と映画のあらすじを読むと古代エジプトのミイラ!さらにパリの街中に翼竜が!と、ここまで出てくる要素で楽しそうな冒険アドベンチャーな映画かと思い視聴すると、がっかりすること間違いなし。
その正体は、小ボケをこれでもかと放り込んだコメディ映画でした。
冒頭のナレーションで進んでいく展開で「あれ?なんか様子がおかしいぞ...?」と感じ始め、30分ほど経ったころには予告編で流れていたエジプトでの冒険パートも終わり、早々とパリに帰ってくる始末。
やっと冒険が始まるのかと期待が高まる中だっただけに、あっけなさにびっくりしました。
ただ、石油を手に付けて火で燃える下っ端やミイラ製造機に巻き込まれるデュールヴー教授など、ちょこちょこと笑えるシーンもあったのでこの冒頭が一番面白かったです。
パリは翼竜騒動とアデルの奇想天外な作戦
パリに戻ったアデルは、翼竜を復活させたエスペランデュー教授を脱獄させ、妹を救うための協力を仰ごうとします。
しかし、この脱獄作戦がまた奇想天外!
様々な変装で刑務所に潜入を試みるアデルの姿は、まるでファッションショーのよう。
この一連のシーンで、色々な変装をして刑務所に忍び込んでくるアデルが可愛かったです。
一方、パリの街では翼竜が大暴れ。
カポニ警部が捜査に乗り出すのですが、ここからストーリーが解決に向けて動き出すまでがあんまりおもしろくない。
捜査中もどう笑っていいかわからないギャグのオンパレードで、フランスのコメディ映画はこういう感じが主流なんか?と少し困惑してしまいました。
唐突な展開に置いてけぼり!?でも、アデルの魅力が炸裂!
物語は後半に入ると、さらに加速していきます。
アデルの入浴シーンがあったり、翼竜と教授の絆が描かれたりと、ラストに向かって急展開が続きます。
しかし、ストーリーには唐突な部分や説明不足な点も多く、「なぜアデルはファラオの秘薬で妹が治ると思ったのか?」「なぜエスペランデュー教授は翼竜を復活させたのか?」など、謎が深まるばかり。
冒頭のエジプトパートからそうなんですが、周りで死人が出てもそんなことはそっちのけで自分のことだけに徹底してるアデル。
その行動からやばいやつ感しか感じないので、このあと妹が復活しても特に感動しないのが...
ラストはルーブル美術館でまさかの展開!
なんとか復活させたミイラは、なんと物理学者のものだったことが判明。
復活の儀式の効果が半径2kmに及ぶこともわかり、その範囲内にあるルーブル美術館でラムセス2世展が開催されていることを知ったアデルは、美術館へと向かいます。
美術館では、ラムセス2世と家臣たちのミイラが復活しており、アデルは彼らの力を借りて妹アガットを救うことに成功。
しかし、そもそもなぜアデルが「ファラオの秘薬」で妹が治ると考えたのか?ミイラを復活させれば秘薬を作ってくれると思ったのか?と、その理由は最後まで語られません。
また、エスペランデュー教授が翼竜を復活させた理由や翼竜とはリンクするのにミイラミイラとはリンクしなかったり、復活の儀式の効果範囲など、設定がめちゃくちゃな点が目立ちます。
物語のラストシーンでは、アデルがタイタニック号に乗り込み、デュールヴー教授が何かを企んでいるような描写で幕を閉じますが、残念ながら続編は制作されませんでした。
最後に
アデル含め男女問わず個性的な俳優のオンパレードな作品でした。
ちょこちょことたしかに笑えるシーンはありますが、ストーリーも詰め込み過ぎてはちゃめちゃで見終わったあと虚無を感じましたね。
一体、二時間近く何を見せられていたのかと...
もう少し事前にコメディ映画とわかるようになっていれば評価も違ったかもしれません。