2023年4月にNHK BSプレミアム・BS 4Kで前・後編にて放送された『犬神家の一族』
横溝正史の同名小説を原作としたミステリードラマです。
今作の脚本は小林靖子、演出は吉田照幸で金田一耕助は前作に引き続き吉岡秀隆が演じました。
原作の発表から50年以上経った今でも根強い人気を誇る作品であり、今回のドラマ化も大きな話題となりました。
前作『八つ墓村』同様、原作未読・過去の映像化作品も見たことがなかったので今回が初『犬神家の一族』になりました。
2023年8・9月のNHK版 金田一シリーズの再放送で視聴したため、ネタバレありの感想でも。
ストーリー
戦後すぐ、財界の大物・犬神佐兵衛が他界。
そして、ケガのためマスクで顔を覆った孫の佐清が復員する。
だが、期待を裏切る遺言状に一族は反目、ついに第一の殺人が!
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感想
初『犬神家の一族』でしたがとても面白かったです!
前・後編合わせて3時間ですが一気見してしまいました。
『八つ墓村』よりもさらに人数が多い&遺産相続が孫世代の話なんで亡くなってる人も多かったりで、真相を話してるときは誰の名前かこんがらがるときもありました。
ただ、作品自体は丁寧に作られているのでストーリーはわかりやすかったですね。
さすがに作品を見たことがないと言っても「スケキヨ」の名前や池に逆さで突っ込まれるくらいは知っているので、それがいつかと思って見ていました。
事件の真相
事件の真相としては佐清が出兵して帰ってきていない状況では相続が不利になる松子が不安になり、遺言状を盗み見たことが始まりになっていました。
佐清に全てを継がせるために松子が佐武と佐智を殺害、それを佐清と静馬がカモフラージュしていたという流れでした。
一連の真犯人である松子も元をたどれば、佐兵衛から母親共々愛されなかったことが原因。
静馬も母から愛されることを知らずに育ち、犬神家に愛を求めてやってきた悲しい人物でした。
やっぱりストーリー後半の松子役大竹しのぶは怖かったですね。
最後の最後に静馬までも手にかけてしまう覚悟の決まった非常さは佐兵衛への憎しみも存分に感じました。
最後の言葉
珠世と結ばれて遺産をすべて相続、めでたしめでたしで終わりと思わせて、あんなどろどろとした関係の家庭で育ってきた佐清をそれだけで終わらせないと感じさせるのが良かったですね。
松子と静馬の行動を逆手に取っていたんじゃないかと思わせ、さらに珠世もどこかのタイミングで全てを知っていて合わせて動いていたんじゃないかと思わせるラストシーン。
あの血筋に生まれた恐ろしさがよく表現されていました。
金田一に「あなたは病気です」と言って去る佐清にみなさんはどう感じましたか?
他に気になったところ
- 結局、松子と佐清 (静馬)が犬神家に返ってくるのが遅かったのはなぜ?
- 珠世が小夜子の抱いていた赤ん坊の人形を触ったときに何かに気付いてたけど何だったのか?医者から妊娠を告げられた両親が子どもを降ろさせたってこと?
- 静馬の遺体が池から足が突き出したシーンはなんで池が凍ってたのか?ストーリー中は一度も凍ってなかったのにそんな寒い時期のストーリーやったの?まあ凍ってないと逆さに刺さってるのが不自然やけど...
- それまでの事件と犯人が違うのにここ一番派手な殺し方で笑ってしまう。
- 意味深で何もなかったお琴の先生 is 何者?
最後に
今回の犬神家のお屋敷も『八つ墓村』から引き続きロケ地は岡山県*1だったようですね。
前作以上に映像面でも気合いが入って作られているのがわかる作品でした。
NHKのスタッフブログにもあるように何度も映像化された作品ゆえに難しさもあったようですが初見でもしっかり楽しめました。
有名な池から足が飛び出て死んでいる佐清のシーンは、今作の雰囲気にあってないからかおまけ程度で控えめに感じたので、過去の映像作品との違いも確認したくなりましたね。
NHKオンデマンドやDVDもあるので見る機会があるときはぜひおすすめです。