1989年12月16日に公開された『ゴジラVSビオランテ』
前作『ゴジラ (1984)』から5年、ゴジラシリーズ初監督の大森一樹が映画化したシリーズ第17作。
脚本原案は一般公募もされたほか特技監督は川北紘一、音楽はすぎやまこういちを起用するなどスタッフも一新し、新たなゴジラ映画を目指した意欲作です。
ネタバレありの感想でも。
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ストーリー
新宿副都心の大破壊から5年。
核兵器を無力化し、世界の軍事バランスをも左右する抗核バクテリアを作り出せるゴジラ細胞(G細胞)を巡る争奪戦が繰り広げられていた。
遺伝子工学の権威・白神博士は、亡くなった娘の細胞を密かにバラの花に融合していたが、娘の細胞を生かすため、G細胞をバラの種子に組み込んだところ、巨大怪獣化しビオランテが誕生した。
そして三原山で目覚めたゴジラとの闘いが始まる。
キャスト
- 桐島一人(三田村邦彦)
- 権藤吾郎(峰岸徹)
- 黒木翔(髙嶋政伸)
- 大河内明日香(田中好子)
- 三枝未希(小高恵美)
- 白神源壱郎(高橋幸治)
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感想
前作『ゴジラ (1984)』から引き続きシリアスな雰囲気が流れる作品で、後のシリーズとはまた違ったおもしろさがあります。
VSシリーズでメインキャラクターとなる三枝未希やG細胞などの重要な設定が初登場。
冒頭、廃墟の新宿で自衛隊がG細胞を回収する一連のシーンが、幼少期のころ好きだったのを今でもよく覚えてる作品です。 (この後にグッズで発売されたG細胞を大事にしてたのもいい思い出)
瓦礫に付着したヌメッとしたゴジラの皮膚片やアレンジされた軽快なゴジラのテーマに合わせて自衛隊とアメリカ兵?との追いかけっこ、妙に雰囲気のあるSSS9 (なんと俳優ではなく、本来は外国人キャストの通訳さん)*1が不意打ちで細胞を奪っていく、この一連のシーンがこの作品ならではの少し暗いながら軽快な雰囲気がよく出ています。
ゴジラ対人間
ストーリーはゴジラの復活、人間と植物とG細胞を融合させたビオランテ、自衛隊のゴジラ対策チーム、抗核バクテリアを巡る日本とアメリカやサラジア共和国 (架空の国)との争奪戦、テロリストや他国のスパイの存在など情報が盛り沢山ながらもよく纏まっていてとても見やすいですね。
基本は黒木特佐率いる自衛隊ゴジラ対策チーム、盗まれた抗核バクテリアを追う桐島&権藤一佐、テレパシーでゴジラ・ビオランテを追う大河内明日香&三枝未希と人間パートがメインで進んでいき、「VSビオランテ」となっているもののゴジラとビオランテの対決よりも「ゴジラ対人間」に重きが置かれている作品でした。
ただ人間パートに重きを置いてると言っても特撮パートもおろそかにされていません。
海上での自衛隊とゴジラの対決、芦ノ湖での対ビオランテ (花獣形態)、大阪の街を破壊するゴジラ、2度目のビオランテ (植獣形態)との対決と見どころ満載。
精神開発センターの子どもたちが一斉にゴジラの絵を見せるシーンはゴジラが本当に復活するんだ!とテンション上がります。
キャラクター
自衛隊の若きエリート 黒木の活躍がとにかく目を引きますね。
三枝未希をゴジラにぶつけたり、大阪への侵入は許してしまうものの手段を選ばずゴジラを追い詰めていきます。
そもそもの発端である白神博士も終始冷静で、ちょっと棒っぽい演技が博士の異常性・マッドサイエンティストぶりを際立たせていますね。
ただ抗核バクテリアを追う桐島&権藤一佐周りが『あぶない刑事』風で音楽も相まって妙にコミカル。カーチェイスなんかも妙に軽い。
ゴジラとビオランテ
前作からより洗練されたものになり、かなり男前になったゴジラ。
84ゴジラが昭和シリーズと平成シリーズを繋ぐ絶妙なデザインだったのがよくわかり、その見た目通りかなりパワフルですね。
芦ノ湖に霧の立ち込める中たたずむ花獣形態のビオランテが怪しさもありとても美しい。
まさかの植物とゴジラの融合という今までに見たことのない新しい怪獣像を作ろうとしているのがよくわかります。
進化した植獣形態のビオランテは花獣形態と違いダイナミックで、ゴジラとの対決では操演の凄さがここぞとばかりに発揮されています。
ゴジラに突っ込んでくる様は迫力満点。
最後に
「同じことを繰り返している限り、新しい時代とは言えません」と桐島が作中で語っていたように新時代を作ろうとする意気込みがよく伝わる作品でした。
前作から続くシリアスな雰囲気も今作で終了、次作以降はよりエンタメよりになっていく平成ゴジラシリーズ。
やっぱりダイレクトな世代なんで平成ゴジラシリーズ好きですね。