2024年6月5日に配信開始となったNetflix『セーヌ川の水面の下に (原題: Sous la Seine)』
国際的なトライアスロン大会で盛り上がるパリを舞台に、突如現れた巨大ザメ「リリス」が街を恐怖のどん底に陥れる様子を描いた本作。
まさにオリンピックイヤーなこの年に、パリを舞台にした皮肉たっぷりなサメ映画が誕生しました。
近年のサメ映画の中でもかなりおもしろかったです。
以下、ネタバレありの感想でも。
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ストーリー
北太平洋のとある海域で、海洋研究者のソフィアと彼女のチームは、以前タグを付けたアオザメ「リリス」を追跡調査していました。
姿を現した「リリス」は7メートルを超える巨大なサメに成長しており、調査チームも襲われてしまう。
それから3年。
トライアスロンの国際大会を控えたパリに、突如「リリス」がその姿を現す。
感想
常識を覆す斬新なアイデアで観客を驚かせてきた近年のサメ映画。
頭が増えたり、台風で飛んだり、地面の中を泳いだり、さらには霊になって襲ってきたりと、本当にいろいろなタイプの映画が作られてきました。
そんな中、本作『セーヌ川の水面の下に』は、海洋研究者のソフィアを中心にある意味で非常に王道な作りのサメ映画になっていました。
環境問題を皮肉たっぷりに描く
本作は、環境問題をテーマに掲げながらも説教臭さは一切感じさせません。
むしろ皮肉をたっぷり交えながらの痛快なサメ映画になっていました。
冒頭、人間の環境破壊の象徴とも言えるゴミが大量に広がる海のシーンから始まるのですが、そんな状態に反してゴミが浮かぶ海中は非常に美しく描かれています。
そんな中で突如現れるサメの群れ、起こるべくして起こった研究チームへの悲劇、その一連のシーンで一気に作品に引き込まれました。
2回目を視聴すると、このゴミの海に現れたアオザメの群れが、すでに進化したリリスの子どもたちであることがわかるのでゾクッとしますね。
地下墓地での緊迫感あふれるシーン
環境活動家のミカがSNSを通じてリリスの命を守るよう訴えるシーンが始まったときは、ここまでの王道な展開を楽めていたので「あぁ〜 ここからは説教臭くなってくのね...」と残念に思いましたが、そんな憂鬱など吹き飛ばすシーンの連続で、地下墓地のシーンなんかはかなり見ごたえがありましたね。
警察や集まった若者たちを、容赦なく餌食にしていくリリスの群れは恐怖でしかない。
密室に近いシチュエーションの中で、パニックになり一人また一人とサメに襲われていくのはハラハラしますね。
圧巻のラスト
ラストの展開はもうすごすぎて、ただただ笑って見ていました!
それまでの硬派な雰囲気から一転、リリスが警察のボートをふっ飛ばした当たりからはもう何でもあり。
警察、一般市民関係なくバッサバッサ食べていき大暴れ。
序盤からセーヌ川には不発弾があるとは言っていましたが、まさかあんな巨大津波が起きるほど埋まっているとは思いも寄りませんでした笑
容赦なく人間を襲うリリス
環境活動家だけでなく、政治家、警察、一般市民と良い悪いも関係なく人間すべてを容赦なく襲っていくリリスの姿は、痛快ながらも考えさせられます。
「何を主張しようが環境を壊したのは人間!サメには関係ねえ!!悪いのは人間!!!」と、そんなメッセージが込められているようにも感じられました。
そんな主張を裏付けるようにエンドロールも必見で、地球がリリス達に侵食され見事な「鮫の惑星」になってしまったことがわかる納得のバッドエンドでした。
最後に
『セーヌ川の水面の下に』は、サメ映画の王道を行きながらも斬新なアイデアと皮肉たっぷりのユーモアでかなり楽しめた作品でした。
環境問題への警鐘も込められており、考えさせられる内容となっています。
サメ映画ファンはもちろん、そうでない人も楽しめるおすすめの作品です。
ちなみに、少しですが津波の描写がある作品ですので、これから視聴される方はご注意を。
- 1999年制作、傑作サメ映画。