『ガメラ対深海怪獣ジグラ』は、1971年に公開された昭和ガメラシリーズの第7作目です。
次回作の制作が決定していたものの、大映が倒産したためこの作品が昭和ガメラシリーズ最後の完全新作となりました。
Netflixで配信予定の『GAMERA -Rebirth-』に備えて、昭和ガメラシリーズを見直したのでネタバレありの感想でも。
ストーリー
母国の海が公害に蝕まれたジグラ星人は、健一とヘレンと彼らの父親ら4人の人質をとり地球侵略を宣言する。
ジグラの操る3色光線にはさすがの地球防衛軍の攻撃も歯が立たない・・・。
480光年遥か宇宙の彼方から攻めてきたジグラ星人と子供たちの味方ガメラが、鴨川シーワールドで激突する。
Sponsored Links
感想
前作『ガメラ対大魔獣ジャイガー』では『対バイラス』『対ギロン』と続いた頓珍漢な宇宙人侵略モノからいい感じに変化があったものの、今回は再び宇宙人侵略モノへ逆戻りすることに。
冒頭から環境問題がテーマになっているものの、これまたツッコミどころ満載の作品でした。
生かされない設定の数々
南米や東京など地球全体でマグニチュード12以上の大きな地震を起こし地球人を脅してくるジグラ星人。
月面基地を爆破されたり各地で地震を起こされたりでかなり甚大な被害を受けてるわりに緊迫感が0な地球人側の描写がずっと続くので切迫感がなし。
予算の問題か東京も崩壊後の映像しか映し出されずで、せっかくジグラ星人に脅されて絶望感が生まれるシーンなのに全く生きてこずでした。
地球はここまでやられてるのに後半の潜水球バチスカーフに乗った4人を助けるためだけに人類が降伏する流れは、もうちょっとどうにかならんかったんかと思ってしまう。
宇宙人X1号
その正体は、冒頭の月面基地で探検車ごと拐われていた日本人の菅原ちか子。
拐われてたことすらすっかり忘れてたんで、正体が判明した時はびっくりした記憶が。
宇宙船内ではレオタード風のデザインで、地球に降りてからは海水浴客から奪った水着になり、さらに研究所ではミニスカの衣装にチェンジと全編を通してちょっとセクシーなお色気担当。
パチンパチンと次々に催眠術をかけていくものの、子どもとのやり取りや行動でどこか抜けてる印象です。
鴨川シーワールドでの健一とヘレンを追いかける一連のシーンがまた冗長で、この場面で子ども二人を執拗に追う設定も別に秘密裏に侵略しようとしてるわけでもないので意味がないのが...
深海怪獣ジグラ
ふるさとの星が環境汚染で滅んでしまい、綺麗な水の惑星に移住するために地球にやってきたジグラ。
ガメラに宇宙船が破壊され、ふるさとの星と地球の海での水圧の違いで身体が大きくなった結果が今作の状態。
巨大になった怪獣のデザインは印象的ですが、宇宙船内の顔だけ覗いた状態のほうが迫力があり怖いですね。
海中では高い機動性と鋭い頭部を使いガメラよりも強いものの、陸に上がると機動性も活かせず、最後はガメラが投げた岩石が鼻先に刺ささり動けなくなったところに火炎放射をもろに浴び、燃え尽きると最終対決は10分ほどの短さ。
またバイラスがいるのに同じような海洋生物デザインで海中で対決するため戦闘シーンも既視感があるし、ストーリーも鴨川シーワールドの近辺だけで終わってしまうのでスケール感のショボさが際立ってしまいましたね。
最後に
『ガメラ対深海怪獣ジグラ』は、環境問題をテーマに入れつつもパターン化したいつものガメラ映画でした。
あの深度で潜水球バチスカーフ内に水が入ってきたら、その時点で水圧で木っ端微塵でしょ。
『GAMERA -Rebirth-』を楽しみにしている方には、ジグラの怪獣としての姿を知るためにもおすすめの作品です。
『GAMERA -Rebirth-』の感想はこちら
→ 【感想】Netflix『GAMERA -Rebirth-』|これが令和のガメラ - Life goes on