2022年9月16日に公開された映画『沈黙のパレード』
『容疑者Xの献身』『真夏の方程式』に続く映画ガリレオシリーズの第3作目です。
今作では、柴咲コウが『容疑者Xの献身』以来14年ぶりに内海薫を演じることでも話題になりました。
原作は東野圭吾の同名小説で、これまでのシリーズ通り監督は西谷弘、脚本は福田靖が引き続き担当。
主題歌はKOH+『ヒトツボシ』で9年ぶりの新曲となりました。
福山雅治演じる湯川学が、殺人事件の真相を解明していくミステリー・ヒューマンドラマですね。
原作小説は未読ですが、今回WOWOWで視聴したのでネタバレありの感想でも。
ストーリー
天才物理学者・湯川学の元に、警視庁捜査一課の刑事・内海薫が相談に訪れる。
行方不明になっていた女子学生が、数年後に遺体となって発見された。
内海によると容疑者は、湯川の親友でもある先輩刑事・草薙俊平がかつて担当した少女殺害事件で、完全黙秘をつらぬき、無罪となった男・蓮沼寛一。
蓮沼は今回も同様に完全黙秘を遂行し、証拠不十分で釈放され、女子学生の住んでいた町に戻って来た。
町全体を覆う憎悪の空気…。
そして、夏祭りのパレード当日、事件が起こる。
蓮沼が殺された。
女子学生を愛していた、家族、仲間、恋人…全員に動機があると同時に、全員にアリバイがあった。
そして、全員が沈黙する。
湯川、内海、草薙にまたもふりかかる、超難問...!
果たして、湯川は【沈黙】に隠された【真実】を解き明かせるのか...!?
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感想
ストーリーはパレード当日に蓮沼の遺体が見つかったことで大きく進んでいきました。
事件の方法は早い段階で明らかになりますが、それからが物語の真骨頂です。
登場人物たちの複雑な関係や、事件の真相が次第に明らかになる展開は見応えがありました。
豪華なキャスト陣
TVシリーズからおなじみの湯川学 (福山雅治)、内海薫 (柴咲コウ)、草薙俊平 (北村一輝)の3人に加え、蓮沼寛一 (村上淳)、宮沢麻耶 (吉田羊)、新倉留美 (檀れい)、新倉直紀 (椎名桔平)と出演者がかなり豪華。
特に娘を亡くした父 並木祐太郎役 飯尾和樹の熱演は必見。
娘を失った悲しみと怒りを全身で表現し、観る者の心を揺さぶります。
また事件の真相を隠そうとする戸島修作役 田口浩正や、過去の出来事から真実を明らかにしようと奔走する草薙俊平も見どころ。
わざわざ「なみきや」に現れる蓮沼の振る舞いは観ているこちらまで腹立たしく感じさせます。
沈黙罪はあるんですか?
登場人物がみな、沙織のことを家族のように大事に思っていたことがストーリー中ずっと描かれていたのでそれぞれの蓮沼への憎悪が痛いほど伝わりました。
関係者が沈黙を守るなか、宮沢麻耶が警察へ「沈黙罪はあるんですか?」と言いたくなってしまうのも納得してしまいます。
愛する人達を守るために真実を隠すことは罪なのか?とそれぞれの葛藤を考えさせる結末は、観る者に深い余韻を残します。
ただみんなが沈黙を守ってると言うものの、沙織の彼氏 高垣智也 (岡山天音)が一番に口を割ったりデビューの話も出てるなか沙織を妊娠させたりと、そもそもこいつが今回一番の原因やったんじゃないかとしか思わなかったのが...
事件の真相
公園で沙織と口論になり、留美が突き飛ばしたことで頭部を強打。
意識を失っている沙織を置いて逃げ出す留美を見ていた蓮沼が、留美を脅迫しに戻ってきたのが「沙織失踪事件」の真相で今回の事件の始まりになりました。
3年後「なみきや」に蓮沼が現れたことで並木祐太郎と戸島修作が「沙織失踪事件」の真相を聞き出すために蓮沼を脅す計画を考え、新倉直紀にもその話を持ちかける。
留美から「沙織失踪事件」の本当の真相を聞いていた新倉直紀は、留美を守るためにその計画を利用して蓮沼を殺害していたというのが事件の真相でした。
新倉直紀が自首してからは新倉夫婦がストーリーのメインになってしまい、並木家や常連客はほとんど触れられないため事件の真相をどう受け入れ、このあとを過ごしたのかその部分をもう少し描いてほしかったですね。
沙織の歌
結局、沙織の『ジュピター』は誰が歌っていたのでしょうか?この記事からすると本人が歌ってたのかな?
女子高生の佐織は歌手を目指していたが、行方不明になる。
映画は佐織が秋祭りで開催されたのど自慢大会に出場して平原綾香の「Jupiter(English Version)」を歌うシーンから始まる。
このシーンに向けて川床は、約3か月間歌のレッスンを受けたという。
最後に
『ガリレオ』シリーズのファンは湯川学の変化にも注目です。
夏美とパレードを楽しんでいたり「なみきや」の常連と談笑したりとシリーズ開始当初から考えると湯川もだいぶ丸くなりましたね。
劇中に現れる蝶がバレッタ同様、沙織を象徴するモチーフになっていたりと細かなところもよかったです。
『容疑者Xの献身』や『真夏の方程式』には及ばないものの楽しめる作品でした。