1970年に公開された昭和ガメラシリーズの第6作目『ガメラ対大魔獣ジャイガー』
シリーズ屈指の強敵ジャイガーとの戦いが見れる今作。
大阪万博が話題となる中で公開され、万博を全面に押し出しているストーリーなのにタイアップ映画ではないという異色作。
後のオカルトブームを先取りしたような設定も魅力の一つです。
Netflixで配信予定の『GAMERA -Rebirth-』の予習も兼ねて昭和ガメラシリーズを見直したのでネタバレありの感想でも。
ストーリー
万博会場に陳列するため、ウエスター島にまつわる彫刻「悪魔の笛」を移動したことから、永い眠りから目醒めてしまった怪獣ジャイガーは、対するガメラの体内に卵を産み付けてしまう・・・。
ムー大陸からやってきた伝説の怪獣ジャイガーとガメラの死闘が繰り広げられる。
Sponsored Links
感想
第2作目『ガメラ対バルゴン』以来となる大阪が舞台のストーリー。
第4作目『対バイラス』以降は影を潜めていた、都市破壊シーンを含めた特撮の充実ぶりが戻ってきたことが嬉しいポイント。
今作は大阪万博の盛り上がりに乗じているものの、万博のタイアップ映画ではなく時期的なもので取り入れたようです。
ただ「昭和」の象徴の一つでもある大阪万博がストーリーに取り入れられることで、制作当時の雰囲気が感じられるのはいいですね。
ウエスター島とムー大陸の伝説
物語の舞台のひとつである「ウエスター島」は、かつて古代文明ムー大陸の一部であり、そこには「悪魔の笛」によって封じられた大魔獣ジャイガーが眠っているという設定。
こうした「失われた文明」や「伝承の呪い」といった設定は、後のオカルトブームの先駆けとも言える内容であり本作ならではの魅力を感じます。
最強の敵ジャイガー
ウエスター島で石像「悪魔の笛」の力により封印されていたジャイガー。
やたら頭部が大きい四足歩行 (バルゴンやギロンと違い膝をついていない!)でおっさんみたいな顔をしたデザインをしていますがこれがまた強い。
分子構造を破壊する「マグネチューム光線」や、離れたものを吸い寄せる「マグネチック吸盤」、鼻の横にある角から「唾液固形ミサイル」を発射したり、海水を吹き出しジェット噴射で空中を少しのあいだ飛行したかと思えば海上の移動にも使ったりとまさにやりたい放題。
ガメラとの1度目の戦闘では、唾液固形ミサイルで手足を動けなくしてガメラを完封。
2度目の戦闘では、倒れたガメラに卵を産み付けて再起不能にするなど、シリーズ屈指の強敵ぶりを発揮しました。
封印から解かれ復活早々に水分補給をしたり、子どもジャイガーが出てきたりと『対バイラス』以降に登場した怪獣の中では珍しく生物描写が意識されていて可愛げも感じます。
トラウマ級のインパクトシーンとガメラの悲壮感
ガメラが大阪での戦いで動かなくなった原因を説明するため、スクリーンに映し出されるゾウの映像がなかなか気持ちが悪い。
寄生され腫れた鼻を切開すると、寄生虫の塊がウジャウジャしているシーンはシリーズ中でもインパクトのあるグロさ。
さらにガメラの体内にいる子ジャイガーやマグネチューム光線による白骨化シーン、頭と前足がスケスケ (劇中のセリフ通り)になるガメラ!と、なかなか記憶に残るシーンの連続でした。
また、産み付けられた卵の影響でガメラが苦しみながら大阪の街を歩く姿は、音楽と相まって非常に悲しいものがありました。
最後に
『対バイラス』以降続く低予算作品のガメラ映画の中では、個人的に一番お気に入りの作品ですね。
舞台の万博に合わせて「悪魔の笛」周りの少し不思議を感じさせるオカルトを匂わせた設定も好き。
次作『ガメラ対深海怪獣ジグラ』では、またとんちんかんなストーリーに逆戻取りしたり、大映の経営不振が続いてしまったため、都市破壊シーンが今作で見納めになってしまったのは残念なところです。
『GAMERA -Rebirth-』に備え、ジャイガーがどんな怪獣か知りたい方にもおすすめの作品です。
『GAMERA -Rebirth-』の感想はこちら
→ 【感想】Netflix『GAMERA -Rebirth-』|これが令和のガメラ - Life goes on
ちなみにガメラとジャイガーが上陸したと思われる大阪湾や弘の家の辺りから万博会場の距離感がおかしいのが気になるけどそこは気にしたらダメなとこか...