2022年11月11日に公開された『すずめの戸締まり』
2016年『君の名は。』2019年『天気の子』と近年は災害をテーマに描いてきた新海誠監督の8作目の劇場用アニメーション映画になります。
WOWOWで視聴したのでネタバレありの感想でも。
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ストーリー
九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、「扉を探してるんだ」という旅の青年に出会う。
彼の後を追うすずめが山中の廃墟で見つけたのは、まるで、そこだけが崩壊から取り残されたようにぽつんとたたずむ、古ぼけた扉。
なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが…
PrimeVideo すずめの戸締まり より
登場人物
- 岩戸鈴芽(原菜乃華)
主人公。震災で母を亡くし環に引き取られる。現在は宮崎県で暮らす。
- 宗像草太(松村北斗)
旅する閉じ師。後ろ戸を閉めるため日本各地を旅して回っている。
- 岩戸環(深津絵里)
鈴芽の叔母。母を亡くした4歳の鈴芽を引き取る。
- 芹澤朋也(神木隆之介)
草太の友人。友達思いなナイスなチャラ男。
- ダイジン(山根あん)
鈴芽が引き抜いた元「西の要石」。草太を椅子に変えたあと、日本各地の後ろ戸が空いている場所に姿を表す。
感想
『秒速5センチメートル』の辺りから新海監督の作品が好きで見ていた私としては、新海節とも呼べるあのナルシシズムを感じる独白の連続やロマンティックさ、過剰なまでの風景の美化などがほとんど感じられなくなり物足りなさも感じた今作。
ストーリー自体はまとまっていてラストは感動しましたが、一度見たときはあまり納得感がないままどんどん進んでいくので置いてけぼりになった印象でした。
唐突な恋愛描写
なんで置いてけぼりになったのかといえば、なにか唐突に感じる恋愛描写のせいだと思います。
草太が椅子にされた → 助けたいっていう気持ちの流れはわかるんですが、何がそこまで鈴芽を動かすのかが全くもって伝わってこなかったんですよね...
草太も草太で要石として封印されることを悟り嘆くものの、そこまでに2人が思い合うような深い思いいれも感じられずで。
ダイジンの存在
中盤まで謎も多かったダイジンの存在も一度見ただけだとわかりにくかったですね。
それでも何度か見ていると鈴芽の何がダイジンを執着させているのかや、「ダイジンと鈴芽」の関係が「鈴芽と環さん」の関係と対比されて描かれていたんだなともわかりました。
そのことを理解してから見ると唐突に感じるPAでのケンカのシーンも納得しました。
ダイジンが鈴芽に対して行ってきたように、鈴芽も環さんから大事なものを奪っていたことを自覚させ、ダイジンのこれまでの気持ちを気付かせるのに重要なシーンだったこともわかります。
常世でのシーン
ラストの常世でのシーンがこの映画の全てですかね。
新海監督はこのメッセージを伝えたいからこそこの映画を作ったのでしょう。
日常が壊れてしまった幼い鈴芽に「私はあなたの明日」とあえて「未来」とは言わずに「明日」と伝えることで、遠い未来ではなく身近な日常がこれからも鈴芽の元に訪れるという温かな希望を感じられました。
タイトルの『すずめの戸締まり』が単に各地で開く後ろ戸を「閉めていく」ことだけではなく、鈴芽自身が自分や過去と向き合い、成長と前向きな未来への歩みにもかかっているのに気付いたときは感動しましたね。
声優のチョイス
新海監督はいつも声優陣のチョイスがうまいですね。
今回の神木隆之介や深津絵里もエンドロールで名前を見かけるまで全く気付きませんでした。
最後に
作品としては一部物足りない部分も感じましたが、確かに近年の新海誠監督の集大成と言える内容の作品でした。
ただ個人的にはそろそろ新海誠節が強めな作品も味わいたいところ。
- RADWIMPSによるサントラ盤。主題歌も入ってます。