【感想】Netflix『新幹線大爆破(2025)』|前半の迫力と後半の惜しさ

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2025年4月23日、Netflixで配信がスタートした映画『新幹線大爆破(2025)』。

監督は樋口真嗣、主演は草彅剛という豪華な顔ぶれで、1975年に公開された映画『新幹線大爆破』を現代版にリメイクした作品です。

映像のクオリティや前半の緊迫感には目を見張るものがありましたが、後半は少しモヤモヤが残る展開に。

視聴したので、ネタバレありの感想でも。

映画『新幹線大爆破』予告編 | Netflix

映画『新幹線大爆破』予告編 | Netflix - YouTube

 

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感想

高いクオリティと迫力の映像体験

全体としてはかなり楽しめました。

特に前半は文句なしの出来で、無駄な恋愛要素やノイズになるような俳優の起用もなく、内容もわかりやすく作られた映画という印象です。

映像面のクオリティも本当によかったです。

爆破される車両はCGではなく、きちんと模型を作って実際に爆破させており、ものすごい迫力。

クライマックスで新幹線車両がクッションドラムに突っ込むシーンでは、実際の車両を使って撮影していたようで、その臨場感も抜群です。

また、撮影ではセットの車両が2両用意され、車窓の外の風景はLEDスクリーンによって再現されていたとのこと。

実際に観ている間はまったく気づかないほど自然で、映像技術の高さを実感しました。

今回はJR東日本が特別協力しており、撮影用に実際の車両を7往復させるなど、圧倒的なスケールでの撮影が行われています。

鉄道ファンにとっても、リアルな新幹線の姿を余すことなく映し出した映像は、大きな見どころだったといえるでしょう。

 

鉄道マンたちの緊張感とパニック描写

物語の前半部分、新幹線が爆破されるという未曽有のパニックに対して、鉄道マンたちがそれぞれの立場で、自分のできることに真摯に向き合い、プロフェッショナルとして事態を解決しようとする姿は、観る者をグイグイ引き込んでいきます。

特に、新幹線総合指令所の総括指令長・笠置が中心となって指令を飛ばす場面は、プロフェッショナルたちの極限状態での判断力とチームワークを強く印象付けました。

 

後半の展開、過去から繋がる動機とその描写に感じた難しさ

ただ、前半がこれだけ緊迫感に満ちていただけに、後半に入ってからは少し思うところがありました。

まず、犯人が女子高生だったという設定。

彼女の抱える家庭環境の問題や、社会に対する怒り・虚無感は、それなりに説得力を持たせようとはしていましたが、どうしてもありきたりな印象が強く、目新しさに欠けていました。

今回の事件が、50年前『新幹線大爆破』で犯人の一人だった古賀の死に関する真実が隠蔽され、柚月の父親(当時事件に関わった警察官)が英雄視されたことに端を発しているという背景は理解できます。

共犯者がその古賀の息子だったという点も、過去の事件との繋がりを感じさせる重要な要素です。

しかし、そういった重い過去を背負い、これほどの計画を実行する犯行の動機や実行力に、個人的にはもう少し説得力が欲しかったと感じたのが正直なところ。

ただ、そういった内面の葛藤の描写があったとしても、車掌の高市に抱きしめられて改心しかけるような人物が、あれだけの犠牲を伴う周到な計画を実行できるという点には、やや納得しきれない部分が残りました。

また、多くの命を危険に晒す彼女の行動に対し、観る側として感情移入したり、共感したりすることも難しく感じられ、彼女の行動を納得させる根拠としては弱く感じました。

演じられた豊嶋花さんの演技自体は素晴らしかったのですが、物語の構造として、この複雑な背景とキャラクターの行動、そして観客が抱く感情との間に、少し距離を感じてしまったのかもしれません。

最後に

作品全体のクオリティは高く、特に前半の緊迫感や鉄道員たちの描写、そして迫力満点の特撮シーンは、十分に楽しむことができました。

1975年版の事件が「現代にも影を落とし続けている」というテーマ設定は魅力的でしたが、もう少し丁寧に掘り下げられていれば、作品により強い説得力が生まれたかもしれません。