大友克洋 監督・脚本で1988年に公開された『AKIRA』
以前から『AKIRA』という作品の存在は知っていましたが、今まで観たことがありませんでした。
あの赤いバイクに乗っているのが主人公アキラじゃないの?というレベルの知識しかありませんでしたが、今回初めて観てとても楽しめました!
4Kリマスター版を視聴したのでネタバレありの感想でも。
AKIRA 4Kリマスターセット (4K ULTRA HD Blu-ray & Blu-ray Disc) (特装限定版)
ストーリー
2019年のネオ東京。
ある夜、金田をリーダーとするバイクの一団のメンバー・鉄雄が負傷した。
彼は突如現れた軍用へリでラボに運ばれ、不思議な力に覚醒する。
一方、街ではゲリラたちの銃撃戦が始まる中、謎の軍用兵器「アキラ」の覚醒が予言される。
暴走する鉄雄と、鉄雄を取り戻そうとする金田の戦いが始まった!
Prome Video AKIRA より
感想
1988年3月、東京に新兵器が使われたことがきっかけで第三次世界大戦が勃発。
それから31年後、新たに復興した「ネオ東京」が舞台。
職業訓練校に通う金田達がネオ東京の街をバイクで暴走するところから始まるストーリー。
見どころ満載
この冒頭から鉄雄が軍に拐われるまでの一連のシーンがいきなりすごい。
近未来的なのに荒廃した街並みのデザインやバイクのチェイスシーンでのテールランプの表現、あの有名なバイクの横滑りや東京オリンピック反対の看板など、始まってすぐに見どころが満載。
ぬるぬる動くアニメーションも今では再現が難しいオーパーツ的な雰囲気を漂わせています。
『ブレイドランナー』やー!とかバイク含めて『遊戯王 5D's』って『AKIRA』やったんかー!と、後の作品に多大な影響を及ぼしたと感じるシーンの連続でした。
緻密な設定
東京オリンピックの会場上空をヘリで通り過ぎるシーンで鉄雄が反応を示したり、クラウンのメンバーに襲われた時、苦しみだした鉄雄の脳裏にラストの映像が写っていたりと、細かい設定がさり気なく序盤から明かされていました。
議員である根津が実は反政府組織を指導して「アキラ」がネオ東京に変化が起こすようなことを竜に言ってたけど、最後の姿を見ると結局は私利私欲に走り、別に変えようとも思ってないのがわかるキャラクター。
たびたび出てくる宗教団体ミヤコ教も存在感が薄いものの「アキラ」のことを知っていることから根津や反政府組織と繋がってるんやろなと推測できたりと緻密な描写が多かったです。
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ナンバーズの存在
劇中で登場するのは、アキラと同時期に施設にいたNo.25=キヨコ、No.26=タカシ、No.27=マサルの3人のみ。
鉄雄が入院してから徐々に明かされる特別な力を持った存在で、鉄雄が力に目覚めてからはあまりよく思っていなかったようでした。
キヨコが話していたように、大きくなってから力に目覚めたことで、その力に溺れて友人や身近な人までも傷つけ、どんどんエスカレートしていく人間の怖さも表現されていました。
ただ、なぜ反政府組織があの時タカシを誘拐したのか、はっきりとはわかりませんでした。
アキラの存在を信じさせるためとか現政府の攻撃に使いたかっただけ?
アキラの正体
「アキラ」が封印されている冷凍カプセルは、怪獣が現れるかのように徐々にその全体像を見せていき「アキラ」の正体を明かす一連のシーンは釘付けになりました。
そして、明かされる正体にも驚いたものの、そこで終わらない。
身体を持たず意識だけの存在になっても、とんでもない力を発揮するアキラを31年前はどうやってバラバラにしたのか。まさか合意の上...?
劇中で「アキラ」がどういった存在なのかはケイが牢屋で語っていたことのみ。
アキラは絶対のエネルギーで、宇宙の始まりのもっと前からある知識やエネルギーの源。
反対に鉄雄は、周りのエサを食い尽くしていくだけの存在になってしまっていたので「+」と「ー」のような状態になって、ラストでは全てを吸収して消えていったんでしょう。
ラストシーン
「でも、いつかは私たちにも…」
「もう、始まっているからね…」
と繰り返されたナンバーズのセリフからも、すでに力に目覚めている人がいることの様子がうかがえ人類の新たな進化を感じさせるラストシーンでした。
最後に
映像もさることながら音楽も耳に残る素晴らしいものばかりで、30年以上前の作品ですがかなり楽しめました。
後の作品に多大な影響を及ぼした今に観るからこそ、逆にあれやこれやと色々な作品を思い出せる作品でもありました。
目覚めてからの鉄雄は髪型と劣等感でベジータ感がすごい。