1969年に公開された東宝の特撮映画「緯度0大作戦」。
本多猪四郎 監督、円谷英二 特技監督、ジョセフ・コットン主演で、海底に作られた平和な理想郷「緯度0」を舞台に、マリク博士との戦いを描いた作品です。
本作は1940年代のアメリカのラジオドラマを原作としていて、日本とアメリカの合作で制作。
本多猪四郎&円谷英二コンビ最後の作品になりました。
ネタバレありの感想でも。
ストーリー
海底都市「緯度0」を舞台に、万能潜水艦・合成怪獣たちが画面せましと活躍する壮大なスケールの物語が展開される。
南太平洋で海底火山に巻き込まれた海底調査隊は謎の潜水艦アルファ号に救助され、海底に作られた平和な理想郷「緯度0」に案内される。
しかしアルファ号を狙う悪の天才科学者・マリクは、岡田博士とその娘を誘拐。
二人を助けるため、一行はマリクの本拠地に乗り込む。
Prime Video 緯度0大作戦 より
感想
ストーリーは海底油田の調査中に海底火山の影響で遭難し、謎の潜水艦「アルファー号」に調査隊の物理学者 田代健、海洋地質学者 ジュール・マッソンと記者 ペリー・ロートンの三人が救助されるところから始まります。
救助されたもののマッソンは、潜水艦内の設備では満足な治療が受けられないため、アルファー号の艦長であるマッケンジーに連れられ、緯度0へと案内されます。
緯度0は、海底に作られた平和な理想郷で、地上よりも進んだ技術文明と豊富な資源があり、人々はそこで自由に暮らしています。
しかし、緯度0を狙うマリク博士が現れ、平和な暮らしを脅かします。
ストーリー終盤、調査隊は拉致された科学者 岡田博士とその娘 鶴子を助けるため、アルファー号の乗組員たちと協力して、マリク博士のいるブラッドロック島へ向かいました。
独特な雰囲気
日米合作の影響か、ラストの結末も含めなんとも独特な作風になっている今作。
アルファー号の船員たちはアラビアン・ナイト風の金を基調とした衣装で、リンダ・ヘイズ演じるアン・バートンがひときわセクシー。
敵役であるマリク一派も黒鮫号の指揮を任されていた黒い蛾(謎のネーミングセンス)やマリクの愛人ルクレチアなど少数ながら濃いキャラクターが登場します。
黒い蛾はマリクに思いを寄せており、ルクレチアは彼女に嫉妬。
一方、そのルクレチアは同じ黒鮫号の乗組員の陳がお気に入りの様子で、謎の愛憎劇も展開されます。
マッケンジー側とマリク側の存在により、緯度0のどの国にも属していない多国籍な雰囲気がよく表現されています。
マリク博士のマッドサイエンティストぶりもなかなかで、黒い蛾を監禁して無理やりライオンとハゲタカの特性を組み合わせグリホンに改造するなど、過激な実験を行う一面も。
しかし最後は、マリク自ら操縦する黒鮫号がアルファー号を捕らえるために仕掛けた強力な磁石に引き寄せられ動けないところをグリホンに襲われるという自業自得な結果に。
ラストシーンは、ペリーが緯度0から海上に戻り、救助された護衛艦でマッケンジーやマリク、田代に瓜二つな人物に次々と出会い、今までのことが夢か現実かわからなくなる不思議な展開でした。
私は夢オチではなく、ペリーがパラレルワールドから戻ってきたのかなと感じましたが。
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特撮シーン
冒頭での海底火山の噴火シーンは、水槽に絵の具を垂らし、逆さにしたカメラで撮影されたことで有名で、ラストのブラッドロック島の大爆発なども見所のシーン。
今作目玉の潜水艦アルファー号と黒鮫号もとにかくかっこよいデザインでした。
ただメカや特撮シーンは良いところがあるものの、ストーリーの終盤に登場する合成怪獣は不気味さはあるものの、キグルミ感丸出しでとにかく酷い。
撮影中アメリカ側のドン=シャーププロが倒産し、東宝が制作費を全額負担せざる負えなくなったため、その影響が出てるのかもしれませんがもう少しなんとかならなかったんかなと思ってしまう。
最後に
日米合作の部分が足を引っ張っている感じもありますが、それでも二隻の潜水艦や特撮シーン、不思議なラストなど楽しめる要素がたくさんありました。
東宝特撮作品が好きな方は、気楽に楽しめるおすすめ作品となっています。