2022年8月26日に日本で公開されたジョーダン・ピール監督『NOPE / ノープ』
宇宙人やUFOなどの未知との遭遇もののホラーとして期待して見てしまった自分はポカーンとする「おもしろくないわけじゃないけど、結局何これ?」と感じた作品でした。
ネタバレありな感想を。
ストーリー
亡き父から、牧場を受け継いだOJは、父の事故死をいまだに信じられずにいた。
飛行機部品落下による衝突死と されているのだが、そんな"最悪の奇跡"が起こり得るのだろうか?
何より、OJはこの事故の際に一瞬目にした飛行物体を忘れられずにいた。
妹のエメラルドはこの飛行物体を撮影して、"バズり動画"を世に放つことを思いつく。
やがて起こる怪奇現象の連続。
それらは真の"最悪の奇跡"の到来の序章に過ぎなかった...。
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感想
中盤までは未知の飛行物体に徐々に追い詰められていく恐怖が描かれ、そこにチンパンジーのゴーディや人種差別などの要素が伏線として織り込まれたホラー映画のテイストがあります。
後半ではついに飛行物体の正体が明らかになり、その展開によって映画自体のジャンルまで一変するという驚きの展開でした。
宇宙大怪獣ドゴラ
冒頭で書いたようにこの映画、初めて観た時はほんとうに何を観てるのかよくわからなかったんです。
最初は未知との遭遇ものかホラー系かと思っていたら、ゴーディの事件など何かを比喩しているばかりで、最後は急に変形して生物になって戦いだすしで。
後日、『宇宙大怪獣ドゴラ』を観ていて、ふと「あぁ〜『NOPE / ノープ』って怪獣映画やったんか」と妙に納得。
情報は色々詰まっているけれど、ストーリーのメインとしては空から突如襲ってくる未知の恐怖に立ち向かう人間たちっていうだけでした。
とにかく怖いゴーディ
この映画では、冒頭から飛行物体の話とともに、チンパンジーのゴーディに関する重要な出来事が怖さを引き立てています。
テレビ番組に出演していたゴーディが、風船の破裂音に驚き番組出演者を突如襲った事件が描かれているのですが、襲われた出演者が声を出すとゴーディは容赦なく殴り続けたり、助けに来た人々も襲われるなど、本編のどのシーンよりも怖くグロテスクに描かれています。
そしてとにかく怖いのにちょくちょく映像が挟まれるから余計に印象に残る。
このゴーディの事件や撮影現場で起こったOJの馬の行動で「見る」「見られる」「見世物」というテーマを表現しており、ストーリーに重要な意味を持っています。
ただ怖かったのはゴーディの一連のシーンでしたが、一番ゾクッときたのは馬小屋に宇宙人の仮装をしてジュープの子どもたちが現れたシーン。
絶妙に見えるか見えないかの距離で現れこちらを伺ってくるのは一番衝撃がありました。
最後に
未確認飛行物体(UFO)=宇宙人が乗ってるものという勝手な固定概念を逆手に取ったGジャンや「世界最初の映画」に出演した「名前も残されていない黒人騎手が祖先」という設定が、OJたちが撮影する側になり自分たちの名前を残そうと奮闘するストーリーは面白かったですね。
いろいろと考察できる設定や後半ではジャンルが突然変わるなど情報量の多い作品で、なかなか自分の中で腑に落ちるのに時間のかかる映画でした。